ラベンダーの香りとは?記憶に残る理由と朝の使い方
Q. ラベンダーの香りとはどんな香りですか?
A. 花の甘さと、草のような青さをあわせ持つやわらかな香りです。シソ科の植物の花穂を蒸留して採る香料です。
ラベンダーは、名前を聞くだけで香りが浮かぶ方も多い、身近な香りです。一方で「眠る前の香り」という印象が強く、朝に使うイメージは薄いかもしれません。
結論から言うと、ラベンダーは気持ちを広く受け止めてくれる、懐の深い香りです。落ち着きたいときだけでなく、行き詰まった気持ちを切り替えたい朝にも使えます。
この記事では、ラベンダーの植物としての姿と、日本で北海道に広まった歴史を整理します。香りが思い出を呼び起こす理由や、研究で分かっていることも紹介します。朝の使い方も扱います。Me-Kouの天然お香はオンラインショップ、またはLINEからお気軽にお問い合わせいただけます。
この記事でわかること
- ラベンダーの香りの特徴と、種類による違い
- ラベンダーがどんな植物で、どう香料になるのか
- 日本のラベンダーが北海道で広まった歴史
- 香りが旅の風景や思い出を呼び起こす理由
- 研究で分かっていることと、朝の使い方
ラベンダーの香りとは?甘さと青さを持つやわらかな香り
ラベンダーの香りとは、花の甘さに、草やハーブの青さが重なったやわらかな香りです。強く主張しすぎず、部屋全体をふんわり包むのが特徴です。
柑橘のように弾ける香りではありません。かといって、パチュリのように重く沈む香りでもありません。ちょうど真ん中にある、穏やかな香りと言えます。
ラベンダーはどんな匂い?
ラベンダーの匂いは、「甘い・すっきり・少し草っぽい」の3つで説明されることが多いです。乾かした花を嗅ぐと、甘さが少し強く感じられます。
私にとってのラベンダーは、まず「懐かしい香り」です。嗅いだ瞬間に、ある夏の景色が浮かぶからです。この話は、あとの見出しで詳しく書きます。
真正ラベンダーとラバンジンの違い
ひと口にラベンダーと言っても、種類によって香りが違います。よく出てくるのは、次の2つです。
| 呼び名 | どんなもの | 香りの印象 |
|---|---|---|
| 真正ラベンダー | コモン・ラベンダーとも呼ばれる代表種 | 甘くやわらかい。最高級の精油がとれるとされる |
| ラバンジン | 真正ラベンダーとスパイク・ラベンダーの交雑種 | すっきりとした青さが強め。商業用に広く栽培 |
ラバンジンは寒さに強く、精油も多く採れます。そのため、量を必要とする製品に広く使われています(Wikipedia「ラベンダー」)。
ラベンダーはどんな植物?シソ科の花穂から採れる香料
ラベンダーは、シソ科ラヴァンドラ属の植物です。香料になるのは、紫色の小さな花が集まった花穂(かすい)の部分です。

原産は地中海沿岸を中心とした地域で、ヨーロッパ南部に多く分布します。属の中には、39ほどの種が知られています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分類 | シソ科ラヴァンドラ属 |
| 原産 | 地中海沿岸を中心とした地域 |
| 香料になる部分 | 花穂 |
| 採り方 | 花穂を水蒸気で蒸留する |
| 主な香り成分 | リナロール・酢酸リナリル(真正ラベンダー) |
名前の由来は、「洗う」という意味のラテン語とする説があります。ただ、古代ローマの入浴に使ったという話には、確かな証拠がないとも指摘されています。由来話は、ひとつの説として楽しんでください。
シソ科の仲間には、ミントやローズマリー、パチュリもいます。同じ仲間なのに、香りの性格がまるで違うのは面白いところです。リナロールを多く含む花の香りには、木蓮の仲間のマグノリアもあります。ラベンダーは、昔ながらの石けんの香りにもよく使われます。
日本のラベンダーはなぜ北海道?香料作物から観光の花へ
日本のラベンダーが北海道に多いのは、香料を採る作物として持ち込まれたからです。最初は「眺める花」ではなく、「香料を採る畑」でした。

富良野の農園の年表によると、流れは次のとおりです(ファーム富田「歴史」)。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1937年 | 香料会社の創始者がフランスから種を入手し、試験栽培が始まる |
| 1942年 | 日本で初めて、蒸留によるラベンダーオイルの抽出に成功 |
| 1970年 | 栽培のピーク。富良野地方で230ha以上・約250戸が栽培 |
| 1973年 | 安い輸入香料に押され、香料会社がオイルの買い上げを中止 |
| 1976年 | 国鉄のカレンダーで畑が全国に紹介され、観光客が訪れ始める |
一度は消えかけた畑が、写真1枚をきっかけに観光の花として生き返りました。香りの産業としては縮んだのに、「景色」としては大きく広がったわけです。
私はこの歴史を知って、ラベンダーが「香り」と「風景」を一緒に持つ花になった理由が分かった気がしました。
ラベンダーの香りで、なぜ旅の風景を思い出すのか
ラベンダーの香りで旅の風景がよみがえるのは、香りが記憶と強く結びつく感覚だからです。香りで呼び起こされた思い出は、ほかの感覚よりも感情を伴いやすいと報告されています。
私自身、家族と北海道へラベンダーを見に行った旅が、とても強く心に残っています。今でもラベンダーの香りを嗅ぐと、あのときの風景が浮かびます。一面の紫の畑や、そこで家族と話した言葉まで、一緒に思い出されるのです。
香りと記憶の結びつきは研究でも報告されている
アメリカの研究者ハーツ氏は2004年、香り・映像・音で思い出を呼び起こす実験を行いました。香りで思い出した記憶は、より感情的だったと報告されています。その場に引き戻される感覚も強かったそうです(レビュー論文)。
香りの情報は、感情や記憶に関わる脳の部分へ届きやすいとされます。「香りは脳に直接届く」と言われるのは、この性質のためです。詳しくは香りと記憶の関係をまとめた記事でも解説しています。
「畑のある香り」には、思い出が重なる
私は、世の中に「〇〇畑」がある香りは特別だと考えています。ラベンダー畑のように、香りと一緒に訪れる場所があるからです。
その場の景色、空気、交わした言葉。香りを嗅ぐたびに、それらがまとめて戻ってきます。香りそのものだけでなく、思い出ごと楽しめるのが、畑のある香りの魅力です。
行き詰まったとき、なぜラベンダーを嗅ぐのか
私が行き詰まったときにラベンダーを嗅ぐのは、この香りが気持ちを丸ごと受け止めてくれる気がするからです。私はラベンダーを、北海道の大地のような「受け入れ型」の香りだと感じています。
悩みを抱えているときや、仕事で行き詰まったとき。頭の中は、同じところをぐるぐる回りがちです。そんなときに鋭い香りを嗅いでも、気持ちが追い立てられるように感じることがあります。
ラベンダーは逆です。広い畑の真ん中に立ったときのように、「それでいいよ」と受け止めてもらえる感覚があります。これは研究の結果ではなく、私自身の体感です。
私が行き詰まったときの3ステップ
私がふだん試しているのは、次の流れです。全部で5分ほどで終わります。
- 手を止めて、窓を開け、部屋の空気を入れ替える。
- ラベンダー系の香りを焚き、ゆっくり3回深呼吸する。
- 悩んでいることを、紙に一行だけ書き出す。
香りで気持ちがゆるむと、書き出した一行を少し離れて眺められます。書く習慣はジャーナリングのやり方も参考にしてください。
ラベンダーの香りで落ち着く?研究で分かっていること
ラベンダーの香りには、気持ちを落ち着ける方向の報告がいくつかあります。一方で、作業の速さや記憶の成績が下がったという報告もあります。
どれも人数の限られた研究です。結果を超えて言い切らないよう、確認できた3つを紹介します。
眠る前に香りを嗅いだ実験
2005年のアメリカの研究では、若い男女が夜にラベンダーと水の香りを嗅ぎ、睡眠を測りました(論文)。ラベンダーの夜は、深い眠りの割合が増えています。ただし、男女で反応が違う項目もありました。
3分間香りを嗅いで計算した実験
1998年の研究では、大人40人がラベンダーかローズマリーの香りを3分間嗅ぎました(論文)。ラベンダーの組は、よりリラックスしたと答えました。計算も、速く正確になっています。
記憶のテストを受けた実験
2003年のイギリスの研究では、144人を3組に分けました。ラベンダー・ローズマリー・香りなしの3組です(論文)。ラベンダーの組では、短期の記憶の成績と反応の速さが下がっています。ローズマリーの組は、記憶の質が上がりました。
| 研究で見られたこと | 確認できなかったこと |
|---|---|
| 夜にラベンダーを嗅ぐと、深い眠りの割合が増えた | 男女や年齢で同じ結果になるか |
| 3分間嗅いだ人が、よりリラックスしたと答えた | 大人数でも同じ結果になるか |
| 記憶のテストでは、成績や反応の速さが下がった | お香の煙で焚いた場合も同じか |
私が大事だと感じたのは、3つ目の結果です。ラベンダーは「集中して覚える作業の最中」より、「気持ちを切り替える場面」に向いた香りなのかもしれません。
朝にラベンダーを使うなら?出かける前の切り替えに
朝にラベンダーを使うなら、作業の最中ではなく、家を出る前の「気持ちの準備」に使うのが合います。研究の結果を踏まえると、集中したい作業中は別の香りに切り替えるのがおすすめです。

Me-Kouは、朝の珈琲の時間に焚く香りを作っています。気持ちよく出社できる朝を、香りで支えたいという思いからです。ラベンダーも、その朝の気持ちを整える一つの道具になります。
| 場面 | 使い方 | 相性のよい香り |
|---|---|---|
| 起きてすぐ | 窓を開けたあと、少しだけ焚いて気持ちを落ち着ける | ヒノキ |
| 朝の珈琲の時間 | 珈琲の香りを主役に、ラベンダーは控えめに | 柑橘系 |
| 出かける前・作業の前 | 火を消し、目覚めの香りに切り替える | ベルガモット・ローズマリー |
ラベンダーで気持ちを受け止めてから、すっきりした香りで背中を押してもらいます。この「受け止める→押し出す」の順番が、朝のラベンダーのコツです。目覚めの香りはベルガモットの香りやヒノキの香りを参考にしてください。
珈琲との組み合わせは?
ラベンダーのやわらかな甘さは、浅煎りの珈琲の華やかな香りと方向が近い香りです。珈琲を淹れる間に焚き、飲むころには火を消すと両方を楽しめます。
香りを重ねすぎると、珈琲の香りが分かりにくくなります。淹れたての香りを主役にしてください。詳しくは珈琲×お香の相性ガイドにまとめています。
ラベンダーの香りを使う前の注意点は?
ラベンダーは身近な香りですが、量と場所には気をつけてください。特にペットのいる家庭では、香りの強さと置き場所に配慮が必要です。
精油を原液のまま肌につけるのは避けましょう。肌に使うときは薄めて、少量で試してください。眠気を感じる方は、車の運転や細かい作業の前には使わないでください。精油の香りを暮らしに取り入れる方法はアロマセラピーとは?も参考にしてください。
ペットとの付き合い方はお香は犬・猫に大丈夫?を参考にしてください。焚き方の基本はお香を焚く際の注意点、精油の基本はアロマオイルとは?にまとめています。
ラベンダーの香りで、行き詰まった朝をやさしく切り替えよう
ラベンダーは、シソ科の花穂から採る、甘さと青さを持つやわらかな香りです。日本では北海道の畑とともに広まり、香りと風景を一緒に持つ花になりました。
研究では、落ち着きの報告がある一方、作業の成績が下がった報告もあります。明日の朝、もし気持ちが行き詰まっていたら、珈琲を淹れる間だけラベンダーを焚いてみてください。
そして家を出る前に、すっきりした香りへ切り替えます。その小さな順番が、気持ちよく出かける朝をつくってくれるはずです。朝の香り選びの全体像は、朝にお香を焚く効果と香りの選び方にまとめました。
よくある質問
Q: ラベンダーの香りとはどんな香りですか?
A: 花の甘さと、草のような青さをあわせ持つやわらかな香りです。強く主張せず、部屋全体をふんわり包むのが特徴です。
Q: 真正ラベンダーとラバンジンは何が違いますか?
A: 真正ラベンダーは代表的な種で、甘くやわらかい香りです。ラバンジンは交雑種で、すっきりした青さが強く、商業用に広く栽培されています。
Q: なぜ北海道にラベンダー畑が多いのですか?
A: 香料を採る作物として持ち込まれ、栽培が広がったためです。香料としての需要が減ったあと、観光の花として残りました。
Q: ラベンダーの香りで眠りやすくなりますか?
A: 夜にラベンダーを嗅いだ人で、深い眠りの割合が増えた研究があります。ただし小規模な研究で、男女で反応が違う項目もありました。
Q: ラベンダーの香りは朝に使っても大丈夫ですか?
A: 使えます。気持ちを落ち着けたい朝に、珈琲を淹れる間などに少し焚くのが合います。集中したい作業の前には、すっきりした香りに切り替えてください。
Q: ラベンダーの香りで集中力は上がりますか?
A: 上がるとは言えません。記憶のテストで、成績や反応の速さが下がった研究があります。集中したいときは、ローズマリーや柑橘系の香りを試してください。
Q: 香りで昔の思い出がよみがえるのはなぜですか?
A: 香りの情報は、感情や記憶に関わる脳の部分へ届きやすいとされるためです。香りで呼び起こされた記憶は、感情を伴いやすいと報告されています。
Q: ラベンダーの香りはペットがいても使えますか?
A: 香りの強さと置き場所に配慮が必要です。換気をして、ペットが離れられる場所で使ってください。不安がある場合は獣医師に相談してください。

